台湾の酒家と北京ダック
・個室キャバレィ・酒家
ご他聞にもれず、本社の部長クラス以上の幹部や役員はすべて外省人
(大陸からやって来た中国人)によって占められていました。
たまに上司が、私が日本から来たかたといって接待してくれることがありました。
繁華街のチュウチャ(酒家)に行き、壁で仕切られた個室に入り、中央に
置かれた丸いテーブルに陣取ります。
左右には、裾を大きく開けたチャイナドレスに身を包んだメイリーシャウ
チェ(美麗小姐、別嬪さん)が侍り、酌をしてくれます。
“CAT航空(当時、勤めていた航空会社)にカンペイ(乾杯)!”
“あなたとわたしは、心と心のお付き合い”
といって、ラオチュ(老酒・紹興酒)やパイカル(白乾。焼酎のように強い酒)
をぐっとあおります。
酒のアテには西瓜の種がよく出ます。
その種を、歯でパリッと割り、器用に皮をむいて中の実を食べ、皮は
テーブルの上にぺッと吐き出します。
ジャンケンに似た遊びで席は盛り上がります。
宴もたけなわになると、彼は私に言い聞かせるように、彼が敬愛する
蒋介石総統について話し出しました。
・怨みに報いるに徳を以ってす
太平洋戦争終結後、蒋総統は日本に対して「以徳報怨」という政策に
基づき最大限の便宜を計らい、多数の日本兵を大陸から無償で復員
させて命を救ったというのです。
自慢げに話す彼の顔は喜色満面です。
「以徳報怨」、正確には「報怨以徳」といいます。
老子から出た言葉で、「怨みに報いるに徳を以ってす」ということです。
人間長く生きていると、時には腹立たしい仕打ちを受けたり、裏切られた
ような気持ちになったりすることがあります。
それに対して、ある人は怒りをそのまま相手にぶつけます。
心の広い優しい人は、怒りをぐっと押し殺して、その場を収めることで
しょう。
しかし、怨みの気持ちは残ります。
老子に言わせれば、そんな場合、受けた恨みにたいして、「徳」(善行)を
以ってお返しするのが一番好いことだといいます。
こういう風に、老子の説く「道」を極めた人が多くいれば、この世の人間
関係はスムーズに運び、争いなんかは起こらないでしょう。
台湾について話をしだしたら、ネタはつきません。
台北本社で仲良くなった営業マンは本省人(台湾で生まれ育った中国人)です。
彼は立派な日本語を話し、そのうち肝胆相照らすほどの仲になりました。
・生まれて始めての北京ダック料理
ある時、美味しいものを食べに行こうと台北駅に近い線路沿いに長く続く
二階建ての商場にあるレストランへ連れて行ってくれました。
そこで生まれて始めて、北京ダックというものを食べました。
二人だというのに、こんがり焼き上げたアヒルがまるまる一羽が出て
きます。
目の前でコックが大きな包丁で裁いてくれたパリッとした薄皮を味噌ねぎ
と一緒にクレープで巻いて食べた味は忘れられないものでした。
こんな美味しいものがこの世にあるのかと感激でした。
その後には、裁いたあとの身と骨をじっくり煮込んだスープがまた格別
でした。
それからは、台北へ行くと一人でもよくそのレストランへ通ったものでした。
ご馳走で忘れられないのは、蜂蜜で蒸し煮した中華ハムを、薄切りにした
パンにはさんで食べる湖南料理と綺麗な模様をした甲羅をもつ花蟹の
蒸しものの広東料理はぎっしりつまったカニの身を頬張ると美味しさが
口のなかに華やかに広がります。
台湾料理では、サツマイモを煮込んだ芋粥が最高でした。
中高年の皆さん元気を出して、頑張りましょう。
次の記事は、台湾の本省人と外省人・二・二・八暴動事件・李登輝です。
ご他聞にもれず、本社の部長クラス以上の幹部や役員はすべて外省人
(大陸からやって来た中国人)によって占められていました。
たまに上司が、私が日本から来たかたといって接待してくれることがありました。
繁華街のチュウチャ(酒家)に行き、壁で仕切られた個室に入り、中央に
置かれた丸いテーブルに陣取ります。
左右には、裾を大きく開けたチャイナドレスに身を包んだメイリーシャウ
チェ(美麗小姐、別嬪さん)が侍り、酌をしてくれます。
“CAT航空(当時、勤めていた航空会社)にカンペイ(乾杯)!”
“あなたとわたしは、心と心のお付き合い”
といって、ラオチュ(老酒・紹興酒)やパイカル(白乾。焼酎のように強い酒)
をぐっとあおります。
酒のアテには西瓜の種がよく出ます。
その種を、歯でパリッと割り、器用に皮をむいて中の実を食べ、皮は
テーブルの上にぺッと吐き出します。
ジャンケンに似た遊びで席は盛り上がります。
宴もたけなわになると、彼は私に言い聞かせるように、彼が敬愛する
蒋介石総統について話し出しました。
・怨みに報いるに徳を以ってす
太平洋戦争終結後、蒋総統は日本に対して「以徳報怨」という政策に
基づき最大限の便宜を計らい、多数の日本兵を大陸から無償で復員
させて命を救ったというのです。
自慢げに話す彼の顔は喜色満面です。
「以徳報怨」、正確には「報怨以徳」といいます。
老子から出た言葉で、「怨みに報いるに徳を以ってす」ということです。
人間長く生きていると、時には腹立たしい仕打ちを受けたり、裏切られた
ような気持ちになったりすることがあります。
それに対して、ある人は怒りをそのまま相手にぶつけます。
心の広い優しい人は、怒りをぐっと押し殺して、その場を収めることで
しょう。
しかし、怨みの気持ちは残ります。
老子に言わせれば、そんな場合、受けた恨みにたいして、「徳」(善行)を
以ってお返しするのが一番好いことだといいます。
こういう風に、老子の説く「道」を極めた人が多くいれば、この世の人間
関係はスムーズに運び、争いなんかは起こらないでしょう。
台湾について話をしだしたら、ネタはつきません。
台北本社で仲良くなった営業マンは本省人(台湾で生まれ育った中国人)です。
彼は立派な日本語を話し、そのうち肝胆相照らすほどの仲になりました。
・生まれて始めての北京ダック料理
ある時、美味しいものを食べに行こうと台北駅に近い線路沿いに長く続く
二階建ての商場にあるレストランへ連れて行ってくれました。
そこで生まれて始めて、北京ダックというものを食べました。
二人だというのに、こんがり焼き上げたアヒルがまるまる一羽が出て
きます。
目の前でコックが大きな包丁で裁いてくれたパリッとした薄皮を味噌ねぎ
と一緒にクレープで巻いて食べた味は忘れられないものでした。
こんな美味しいものがこの世にあるのかと感激でした。
その後には、裁いたあとの身と骨をじっくり煮込んだスープがまた格別
でした。
それからは、台北へ行くと一人でもよくそのレストランへ通ったものでした。
ご馳走で忘れられないのは、蜂蜜で蒸し煮した中華ハムを、薄切りにした
パンにはさんで食べる湖南料理と綺麗な模様をした甲羅をもつ花蟹の
蒸しものの広東料理はぎっしりつまったカニの身を頬張ると美味しさが
口のなかに華やかに広がります。
台湾料理では、サツマイモを煮込んだ芋粥が最高でした。
中高年の皆さん元気を出して、頑張りましょう。
次の記事は、台湾の本省人と外省人・二・二・八暴動事件・李登輝です。

